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ミュージックレビュー

ウワノソラ『陽だまり』

ウワノソラ新譜『陽だまり』が発売された。

f:id:casabetess:20171029211333j:plain 『陽だまり』2017年

ウワノソラ名義では2作目(ウワノソラ’67でアルバムがある)になるこのアルバム、1作目を愛聴していたのでどんな出来になるのかと思っていたけれど前作をはるかに上回る傑作に仕上がっている。MVのみ公開されていてアルバム未収録だった 「Umbrella Walking」が今回収録され、アルバムの中ではたぶん一番古い曲になると思われるが以後に作られた他の曲はすべて深化しているように思う。

「陽だまり‐Prelude-」に続く「画家と絵画」はボーカルアレンジの妙味が楽しめる曲。同じフレーズの重ね録り(HRの帝王OZZY OSBOURNEもやってる手法)、単体の声、音階を変えてハーモニーを奏でる3パターンでウワノソラ流ソフトロックといった趣向だろうか。

「Umbrella Walking」は渋谷系っぽい音作りでリスナーによってはこの曲が一番いいという意見があるかも知れない。


ウワノソラ - Umbrella Walking

「夏の客船」。アルバムに先行して公開されたMVを観てイントロだけで名曲の予感がした曲。濃密に洗練されたサウンドと全体を覆う空気感はユーミンの『悲しいほどお天気』を想起させる。

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『悲しいほどお天気』1979年

ユーミンの作品の中でも(『昨晩お会いしましょう』ぐらいまで)何か突出したモノを感じるあのアルバムに匹敵するような雰囲気の曲に出会えるとは思いもしなかった。この一曲でウワノソラに対するイメージも一新され、自分の中で定番曲が追加された。


ウワノソラ - 夏の客船

続く「打ち水」も曲の終盤、決めのフレーズは70年代当時のユーミンを彷彿とさせるものがある。

「渚まで」はLampの染谷さんがTwitterで激賞。Lampの新曲として香保里さんが歌っても違和感ないかもしれない。最近のLampの曲と共通するものを感じる曲。


ウワノソラ - 渚まで  (期間限定公開)

以上、自分なりに特筆すべき曲を挙げてみたけれどこれら以外の曲も凄く良くてぜひオススメしたいアルバムである。

あと一つ気になる点として、この作品は自主流通という形態をとっている。ウワノソラで運営するWebショップと全国の個人経営のCDショップで主に売られていて外資系販売店は関東圏のみ大手ネットショップでは取り扱いなしとなっている。確かクラムボンも似たような販売方法を行っていたと思うのだが、元々ウワノソラを知っているリスナーはいいとしても彼らの事を知らない一般の音楽ファンの目に触れずらい状況にあるのではないか。箸にも棒にも掛からぬ作品だったら何とも思わないけれどこんなにいい作品が今の現状では何とも勿体無い気がする。

これから10年後ぐらいには手に入らない名盤として語られることになりそうだ。