2023年のライブ観戦は東京への遠征が出来なくなった代わりに行けるものは全部行こうと思っていたので自分史上最多回数になった。なので観たライブ全部は書ききれないから最後にアーティスト名だけ記述しようと思う。では観た順番に振り返って見よう。
Negiccoと並んで楽曲派アイドルの最高峰と自分の中では位置付けているRYUTist。グループ結成12年目を迎えオリジナルメンバーの一人が卒業するというのでさぞかしエモいライブになるだろうと思って行ったら通常運転だった。どうやらエモかったのはツアーラストの新潟公演だったようで。しかし内容は素晴らしかった。安定、余裕の歌とダンス。自分はつくずくアイドル成りたての初々しい子達よりキャリア10年以上のベテランさんの方が好きだなと思った。2023年アイドルライブはこの一回きり。今年はせめて2ヶ月に一回は行きたいところだ。ベテランアイドルの皆さん、大阪へぜひ。
RYUTist-涙のイエスタデイacoustic ver | online ACOUSTIC HOME LIVEユメハネ-ikarashi muu birthday live
神戸ワールド記念ホールで行われたビョークのライブは弦楽32重奏、見た目にも壮大なスケールでビョーク自身のビジュアル(効果の意味は?)。演奏時間1時間強、チケット代金¥21,000を高いと見るか。自分はライブの最中ずっと背中に悪寒(風邪をひいていたのではない!)が走りっぱなしでさすが現役世界最高のボーカリストの一人、十分だった。彼女が凄いのは普通、彼女ぐらいの年齢になるとライブ後半ぐらいから高音が出にくくなるものだが彼女は尻上がりに調子が出てきて後半こそが絶好調に。まさに声帯モンスターだった。
自分は彼らのライブを24年前に一度観ただけだったがアルバムはCDで全部持っている、そういうファンだった。今回のライブは書くことが一杯あって4月にこのライブレポートを懸命に書いていたのだが完成せず投稿出来ずじまい。何せバンド編成での大阪ワンマンは23年ぶりである。自分が書きたかったのは彼らは東京を拠点にしていながらも“自分達は大阪に縁がある”とずーっと思い続けていただいていたのが(別に大阪人を代表する訳じゃないが)凄く嬉しかったこと。でなければ23年ぶりにワンマンライブが実現するはずがないと思って。彼らがMCで23年前のこと、そしてこの23年間の活動や私生活について語る時、自分も23年間何をしていたのか思い出していた。ライブの後、自分の20年くらいを振り返るライブ体験なんてそうそうあるものではないと思った。
Swinging Popsicle「オレンジ/遠い空」2022年
The 1975
大阪城ホール大入り満員。来日直前にボーカルのマシューがPodcastで日本人をバカにするような発言をして客入りに影響あるのか?と思ったが一切関係なかった。ステージ中央にちゃぶ台とイスを置いてマシューが小芝居をする。他のメンバーは楽器を持って普段通り。そこだけ見るとまるでマシュー・ヒーリーと彼のバックバンドという様相だ。曲はいい曲ばっかり。自分の感覚でいうと1980年代から活動しているような錯覚を覚える程、逆にいえば新しい事は何もない(あくまでも自分の感想です)。ライブを観て改めて思ったのはマシューってイギリスのロックヒーローに連なるタイプかな、と。マーク・ボラン、デビッド・ボウイあたりからカルチャークラブ、デュラン・デュランに至るアメリカにはないタイプのロックスター、という感じ。
The 1975-Happiness(Live in Tokyo,Japan)
岡村靖幸さんのライブには7月と12月、2回行った。体のキレとか「大阪いくよ」「一緒にいける?」みたいに連発するところとか昔と変わらないなぁと思った。しかし一度観るだけのつもりが12月も行こうと思ったのは7月の時のカバー選曲が衝撃だったから。一度幕が下りてアンコールという形で幕が上がって始まったのが吉田美奈子さんの「時よ」だった。ちょうど6月に美奈子さんのライブをビルボード大阪で観たばかりで“グッドタイミング!”と思ったのだが「時よ」を知っている人は分かる通り岡村さんの熱唱にあまりにもピッタリ過ぎて凄いものを観てしまったと思っていたら続けざまに聴き覚えのあるフレーズが流れ始める。最初何が起きているのか分からなかった。プリファブ・スプラウトの「Appetite」である。たぶんプロの演奏でプリファブ・スプラウトの曲を生で聴くのは始めてのことだ。なぜ岡村ちゃんがAppetite???頭の中が混乱してひっくり返りそうになった。ちなみに12月のカバー曲は櫻井敦司さんに提供した「SMELL」のセルフカバー、ディーボの「Girl U Want」、ajapai「大車輪」。
彼らのライブを観るのは初めて。大阪GORILLA HALLという新しいライブハウスにほぼ満員の1000人はいただろうか。高城さんが「タイアップもないアルバムのツアーにこんな沢山来てくれて~」といってたけど本当にその通り。キャパ1000人の会場が満員でしかも全員踊っているのだ、ceroの曲で。ceroの客は凄いと思った。
cero - Tableaux Live at Zepp Shinjuku 2023.7.12
田島さんのライブは例年通り3回観覧、夏のバンドツアーに秋のひとりソウルショウ、そして今年はこれだった。このライブも色々書くことが多すぎて未完成のまま投稿出来ず。でも未観覧の方には絶対オススメのこのコラボライブ、先入観なしで観た方が良いかも知れないので昨年投稿しなくて正解だったかも。田島さんがインスタの中でここでの演奏を映画音楽の様だったと記されているけれどライブ中、映像が写し出されることなどないのだが観た人は一様に誰しもが頷けるのだ。その場にいる全員、映像が頭の中で浮かんでいるのである。映像が見えているのだ。それは喬太郎師匠の語りで、である。落語の話芸って本当に凄いものだと思う。
ORIGINAL LOVE(オリジナル・ラブ) / プライマル
毎週聴いているFM802伊藤政則さんの番組内でリスナー投票による今年のベストライブランキング、ミスタービッグ、マネスキン等を抑えて1位に選ばれたのがディジーミズリジー。自分も来日アーティストのライブの中では1位にしてもいいぐらいだった。なぜこんなにも感激したのか、理由を考えてみたい。まずファンならCD(今はサブスクか)音源を聴いて好きになっていると思うのだがディジーミズリジーはレコーディングがメインでライブはただ単に音を再現しているに過ぎないのかあるいはライブの方こそがメインでライブで忠実に再現出来る音を選んでレコーディングしているのか、いずれにしても自分の感触ではギターの音色からティムのボーカルの節々までほぼCD音源通りに演奏されたと思う。それが当然生音なので大迫力とバンドメンバー4人が織りなす得も言われぬグルーブが渦巻いてバンド側から何倍もの回答となってファンに跳ね返ってきた、そういう構図ではないか。要するにライブバンドとしての圧倒的な実力を見せつけられたということなのだが。カーペンターズのカレンはライブでもレコードと同じように歌えることが評価されていたと聞いたことがある。アーティストによって一回ごとのライブでアレンジを変えることはマンネリ化を避けるためでもあるしファンの楽しみにも繋がるので一概にどちらが良いのか言えない面はあるのだがディジーミズリジーの場合CDを聴き込んでいるファン程、ライブが終わった瞬間から今年のベストライブは決まり、と思ったんじゃないのか。
Dizzy Mizz Lizzy-In The Blood|Sammen for Ukraina
Ned Doheny
来日してたの?って方もいらっしゃるんじゃないだろうか。『HARD CANDY』というAORの名盤中の名盤を生み出したアメリカのSSW、自分も10代の頃から『HARD CANDY』を愛聴していて今回が一期一会だと思ってライブを観に行った。会場はビルボードライブ大阪、御本人を含めバンドの皆さんおじいちゃんでリラックスしてアットホームな空間。ネッドのボーカルは高音がかなり苦しそうだったがキーは下げていなかったように思う。『HARD CANDY』の曲はもちろんのことチャカ・カーン「What Cha' Gonna Do For Me」とかベストの選曲。何も言う事はないライブだった。『HARD CANDY』の次に出た『PRONE』というアルバムの「The Devil In You」がライブでは凄く良くて家に帰って『PRONE』を聴き直してみたらめちゃめちゃ良くて新しい発見だった。昔『PRONE』を聴いた時はいかにもアルバム全体が大成功した『HARD CANDY』の二番煎じで受付けなかったのだが発売から45年たって今でも演奏している曲に対し敬意以外の何ものでもないと思った。
NED DOHENY『PRONE』1978年
Daryl Hall & Todd Rundgren
このライブ、観る前はどんなライブになるのか想像がつかなかった。ダリル・ホールのDaryl's House Bandで来日ということでソウル、R&Bノリのアレンジで曲が演奏されると思っていたが確かにそういう側面もあるにはあったがトッドのソロライブが1時間、休憩を挟んでダリルのソロが1時間、二人の共演が4曲だったか、最後の曲はダリルのソロで「Private Eyes」の大合唱というアメリカンロックコンサートだった。少なくともDaryl's Houseというコンテンツがメインではなかった。予想は違ったがライブの内容は十分満足のいくもの。 トッドとダリルって今までライブを観る機会は幾度かあったがその度に行くことに二の足を踏んでいた。二人ともライブではかなり大雑把に歌うような印象があって。しかし実際観てみたら大雑把な感じも結構良くて楽しめた。結局トッドのソロが1時間もあったことが自分としては得した気分だった。ライブとは関係ないがダリル・ホールは今、ジョン・オーツと裁判しているみたい。ホール&オーツの来日公演も観たい感情が湧いてきていただけにその願いは叶いそうにない。
Daryl Hall - Can We Still Be Friends(Live From Daryl's House)
以上、当ブログは一回の記事の中で曲は10曲までというマイルールがあり以下は上記以外で2023年に観たアーティストを記す。
・7セグメント ー 2月まで東京遠征可能だった!
・流線形 ー ビルボードライブ大阪
・SaToA ー 梅田Hard Rain
・猫戦 ー 心斎橋Pangea
・DREAM THEATER ー グランキューブ大阪、3時間のライブ!
・Yazmin Lacey ー ビルボードライブ大阪
・竹内アンナ ー 5月umeda TRAD 12月大阪市中央公会堂 2回行きました!
・ECHO ー 吉田美奈子さん 石井彰さん 安田芙充央さんのプロジェクト!
・Orange Pekoe ー ビルボードライブ大阪
・TEDESCHI TRUCKS BAND ー あましんアルカイックホール
上記以外にはGilles Peterson、YonYonさんのDJイベント、伊藤政則さん広瀬和生さんのトークイベントにも2回参戦と、コロナ禍が明けて堰を切ったような観戦数だった。
2024年はどんな年になるのか。このブログも毎年最低12回は更新したいと思っていてここ数年は段々投稿数が減ってきている。これは自分の企画力の無さが原因で今年こそは12回更新を達成したいと思う。今年もよろしくお願いします。