追悼 LINDA LEWIS

好きな女性シンガーの中でも5本の指に入るぐらい大好きだったLINDA LEWIS。イギリス人SSWとしてLIANNE LA HAVASやCORINNE BAILEY RAEの先駆け的存在だった。あの一度聴いたら忘れられない幼い少女のようなハイトーンヴォイスはいつの世であっても唯一無二の響きとして残っていくことだろう。

しかしそんなLINDAのアルバムを自分が過去に遡って買い漁るようになったのはつい最近のこと。

LINDAのアルバム発売は1983年『A TEAR AND A SMIlE』から1995年『SECOND NATURE』までの間、長いブランクが生じているのだが自分とLINDAの間にはそれより長いブランクがあった。

 

LINDA LEWISの最高傑作といわれているセカンドアルバム『LARK』。

LINDA LEWIS『Lark』1972年

オリジナル盤が発売された1972年以降、日本では幻の名盤として長らく入手困難な時期が続いていたらしい(よくある話しだが)。1990年代に入りLINDAがイギリスのクラブDJ達によって再評価され『Lark』が初CD化されたのが1995年。自分がCDを買い始めた頃には既に容易に『Lark』は手に入る状況だった。全くLINDAを知らないまま、まずは『Lark』を買ってきて初めて聴いてみたらこれがアコギを十二分にフューチャーしたフォーキーなサウンドで今にして思えば実は最も彼女らしい素晴らしい内容の作品なのだが2000年前後の頃の自分にはこの作品の良さが分からなかった。その分野の専門家が『Lark』を最高作というのだからそれが自分に響かないうちは他のアルバムを聴く必要はないだろうと考えていた。ただしあの歌声だけはずーっと心に残っていたような気がする。それから月日は流れ2018年だったか、たぶんYouTubeを見ていて偶然「NOT A LITTLE GIRL ANYMORE」を聴いたことがきっかけだった。アメリカのソウルファンクバンド、TOWER OF POWERから提供されたこの曲は最上級のスローグルーヴナンバーで自分の中でのLINDAのサウンドイメージが一新された。今にして思えばこの曲こそLINDAの曲の中では異端な部類なのだが。

LINDA LEWIS『WOMAN OVERBOARD』1977年

LINDAの訃報はまず真っ先にGILLES PETERSONのインスタの投稿で知った。下記の動画はGILLESのYouTubeチャンネルで歌う2015年、65歳のLINDAである。若い頃と変わらぬ歌声が素晴らしい。いろんな曲がある中で彼女が「LIGHT YEARS AWAY」を歌っているのはたぶんGILLESがリクエストしたんじゃないのか。自分は昔からGILLESの選曲センスに憧れているようなところがあって今回は「LIGHT YEARS AWAY」タイプの曲を何曲か貼ってみることにする。


Linda Lewis-Light Years Away//Basement Session

LINDA LEWIS『Fathoms Deep』1973年


Red Light Ladies

LINDA LEWIS『Second Nature』1995年


What's All This About?(2017 Remaster)

LINDA LEWIS『Not A Little Girl Anymore』1975年


I Do My Best To Impress

最後に「Not A Little Girl Anymore」を。このアルバムのジャケ写も相当好きでLINDAの表情は口が半開きで目は虚ろ。何気ないポートレートのようだが全体として凄く瑞々しさを感じる。ジャケ写が中身を語っている典型だと思う。


“Not A Little Girl Anymore”by Linda Lewis