CORINNE BAILEY RAEは2017年の来日が6年ぶりでなかなか観れないアーティストなのかと思いきや、そこから3年連続来日していて嬉しい誤算である。
今年の会場は昨年と同じビルボードライブ大阪だったがドラムが入ってのバンドセットで一昨年に近い雰囲気。メンバーはJOHN McCALLUM(ギター)、STEVE BROWN(キーボード)、MYKE WILSON(ドラム)。YouTubeのTiny Desk Concertと同じメンツだった。
間近でこれほど妖艶な黒人女性を見慣れていないせいか今年もCORINNEのアーティストオーラは半端なかった。
彼女の一挙手一投足に観客が集中している中、手のひらサイズのシンバルを微かに鳴らしたかと思えば水色のエレキギターを抱えて激しくリフを刻んだり彼女なりの演出、観せ方にも逐一納得。メンバーのソロ演奏の間、音に合わせてステップを踏むはしゃいだ感じのCORINNEが観れて楽しかった。
今回一番感激したのは昨年はやらなかったこの曲。
CORINNE BAILEY RAE『Live in LONDON』2007年
Corinne Bailey Rae - Till It Happens To You - YouTube
曲の後半、バンドの演奏もCORINNEの歌も凄く力が入るフレーズを繰り返すところでロンドンLIVEの映像より長めに尺を取ってやっていた。
彼女のアーティストとしての勘の良さを感じる場面だった。
ちなみにCORINNEは今現在(6/10)ブラジルにいる模様。
彼女のインスタグラムでは以下のような自己紹介がなされている。
Traveling the world singing my songs
いかにもCORINNEらしい一文である。
CORINNEのLIVEから2日後の5月29日はTOM MISCHのLIVEだった。
松下IMPホールは客席を取っ払ってオールスタンディングにしていたけれどパンパンの満員。TOMの人気の高さを思い知った。
オープニングアクトはSIRUP。いかにも今ウケそうな音楽で客の反応も上々。正直、自分には...だったけど彼の曲の方がTOMより踊りやすくて近い将来今回と同規模のLIVEをメインアクトで行うようなアーティストになるんじゃないか。
TOMの曲は親しみやすさはあるけど突き詰めれば一般ウケするタイプでもない気がする。しかし客は最初からお終いまで大揺れノリノリ。今の時点であまり断定しないでおくが来年以降、TOMの来日公演はずっとこうなのだろうか。
LIVEを観て思ったのはTOMのやろうとしていることはR&Bとかジャズっぽいことをヒップホップの手法で解釈するというもの。ネオソウルの志向性ともいえるが彼が特徴的なのはギターリストでありボーカリストだということだ。
彼の歌声はCHET BAKERを彷彿させる繊細でナイーブな感じ。曲によってはAOR、シティポップな感覚を聴く者に植え付ける。ギターを弾きながら歌うオーソドックスなスタイルがTOM及びその周辺の音楽を好むリスナーにとっては逆に斬新さを認識することに繋がったのだと思う。
Rhythm Roulette: Tom Misch | Mass Appeal
LIVEの終盤、TOMがギターソロでISLEY BROTHERSの「FOOTSTEPS IN THE DARK」のイントロ部分をアドリブで弾いていたのだがLIVE終わりに駅に向かって歩いていると群衆の話し声の中に「アイズレー」という言葉が数人から聞こえてきて思わず聞き耳を立ててしまった。