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ミュージックレビュー

Lamp『彼女の時計』

5月15日、Lampの新作『彼女の時計』が一般発売される。

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『彼女の時計』2018年

収録曲の中から先行して新MVが公開されている。この「Fantasy」は新曲として一昨年のLIVEでも演奏されていた曲。当時MCで永井さんが仮タイトルって言っていたがそのままになったようだ。


Lamp 「Fantasy」M.V.

たぶんLampファンの中では自分は古株だと思うが新作のリリース記念LIVEがリキッドルームで早々にチケット完売って...。こんな熱い雰囲気って今まであっただろうか。

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左から染谷大陽、永井祐介、榊原香保里

自分がLampを知ったのは音源集『残光』から。『残光』が発売された2007年以降だけで考えるとどのアーティストよりも一番長く回数多く聴いているのがLampの曲ということになる。なぜLampなのかというと答えは明快でLampが持ち合わせている音楽的要素が自分の好みに合っているから。どの曲もどのアルバムも 全て良いと思っている。自分に限らず音楽ファンその人にとって一番好きな音楽とはそういうものかも知れない。

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『そよ風アパートメント201』2003年

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『恋人へ』2004年

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『木洩陽通りにて』2005年

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『残光』(音源集)2007年

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『ランプ幻想』2008年

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『八月の詩情』2010年

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『東京ユウトピア通信』2011年

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『ゆめ』2014年

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『雨に花』(音源集)2016年

Lampは3人編成のバンド。リーダーの染谷さんが作る曲は主に女性ボーカルの香保里さんが歌い、永井さんが作る曲は永井さん自ら歌うことが多い。作曲する2人のうち染谷さんの方はブラジル音楽の影響を強く感じさせるものがあり、永井さんの方は日本の四畳半フォークの影響を感じさせたりするが総体的にはソフトで繊細、美しくてポップなメロディー、元祖をたどればはっぴいえんどシュガーベイブに行きつくようなJ-シティポップの王道をLampなりの解釈で曲にしているとも思える。

もう一つLampを聴き続けている理由としてあるのが作品数の多さだ。過去のアルバムジャケットを見て分かる通り初期作品集の『雨に花』をも含めればこれまで9作品出ている。Lampのような音楽をやっているバンドは作品を1~2作、多くても3~4作出したあたりで解散したり活動停止に追い込まれてしまう。自分の手元には洋、邦問わずそのようなアーティストの作品が多数残されているのでそのことを強く実感する。Lampが今回の新作で10作目というのは偉業といっていい。しかも1作目からメンバー不動で活動開始が2000年~だから18年間である。恐らくこの間に音楽を継続していく難しさに直面していた時期もあっただろう。メンバー3人はそれぞれ一般的に言われるような人生の節目を乗り越えて今に至っているはずである。

ファンの目線から見てLampを取り巻く状況が変わってきたのは前作『ゆめ』発売以降からではないか。積み上げてきたものが実になり始めたというべきか。染谷さんがインディーズレーベルを主宰し始めた事も関係しているかも知れない。

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何といっても一番驚いたのが昨年のアジアツアーだ。台湾~香港~中国と8公演全てワンマンLIVEで延べ2000人動員したという。韓国でLIVEをやっていることは知っていたけれどアジア各国でこれ程動員できるとは思いもよらなかった。

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 SNS全盛の今の時代、日本でLampの音楽にたどり着くような新規のファンはこういう情報には目ざといはず。先に海外で評価されるといういかにも日本人が好みそうな“正のスパイラル”に入ってきているような気がする。新作『彼女の時計』はLamp史上最高の売り上げを記録するのかも知れない。是非ともそうなることを期待して止まない。

最後にファンの一人としてずーっと感じていること。YouTubeにupされているメンバー3人へのインタビューの中で永井さんが発言している内容。

〔(Lampの曲を)聴き返すと~僕らがいなかったら世の中に生まれてなかった音楽だなって思える~〕

これにはLampの音楽を愛する者として静かに無言で同意するのである。

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